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信託銀行、税理士、弁護士、行政書士と比較しながら、相続手続きを司法書士に依頼するべき理由と依頼すべきケースについて紹介します。
相続手続きを依頼する専門家には、信託銀行、税理士、弁護士、行政書士、司法書士の5つの選択肢があります。どのように選べばよいでしょうか。それぞれの特徴を紹介します。
信託銀行は、司法書士や税理士への紹介窓口として機能します。信託銀行のみで各種手続きは行えませんので、信託銀行が受け付けた依頼に関し、提携している司法書士や税理士が相続手続きや相続税申告を行うという流れです。大手なので安心感はありますが、直接専門家に依頼するよりも費用が高くなる傾向にあります。
相続手続きの中でも「相続税の申告手続き」が必要な場合には、税理士に業務を依頼します。相続税の申告手続きは、相続財産の額が一定の金額を超えた場合に行わなければならない手続きです。財産を相続したからといって相続税の申告手続きが必要とは限りません。
そのため、まずは財産の名義変更や遺産分割、遺言書の作成などを行ってから、相続税の申告手続きが必要かどうかを専門家に判断してもらった方がよいでしょう。
相続人の間でトラブルが生じてしまっている、交渉が進まなくなってしまっているといった場合には、弁護士に業務を依頼します。相続人の代理人として交渉ができるのは弁護士だけです。遺言の内容が無効だと主張したい、遺留分や寄与分を請求したいといったご希望に関する調停や審判などの法的な手続きも、弁護士に依頼するべき事項になります。ただし、弁護士はあらゆる法律を扱える専門家なので、得意な業務・不得意な業務がそれぞれ異なっています。弁護士に相続に関するトラブル解決を依頼する場合には、相続問題に強い弁護士を選ぶことがオススメです。
相続する財産の中に不動産が含まれていない場合には、行政書士に相続手続きを依頼するのも一つです。行政書士が行える相続に関する手続きには、遺言書や遺産分割協議書の作成、戸籍などの証明書類の収集代行などがあります。ただし、法務局や税務署に提出する書類は作成することができません。また行政書士は、行政機関に提出するさまざまな書類を作成する専門家なので、相続の手続きを依頼する場合には、相続関係の書類を作成した実績のある行政書士を選ぶとよいでしょう。
相続する財産の中に不動産が含まれている場合には、司法書士に依頼することが必要です。司法書士は、不動産の相続登記や抵当権抹消登記のほか、行政書士の業務範囲でもある遺言書や遺産分割協議書の作成、遺言書の検認、弁護士の業務範囲でもある相続放棄の手続きを行うことができます。相続の相談をしている過程で、相続税の申告手続きが必要になった方は、司法書士が税理士を紹介することも多いです。そのため、相続人の間でトラブルや紛争が起きていない場合には、まずは司法書士に依頼すると、相続手続きをスムーズに行うことができます。
相続を司法書士に依頼するべき理由には、業務の対応範囲が広いこと、費用が比較的安価なこと、不動産実務を把握していること、相続に強い専門家と連携していることの4つが挙げられます。
司法書士が相続に関して対応できる業務の範囲は、ほかの専門家よりも広いです。不動産などの相続財産の名義変更や金融機関の相続手続きはもちろん、遺言書の作成・検認、遺産分割協議書の作成、相続人・相続財産の調査、相続放棄の手続きもカバーしています。とくに相続手続きには不動産の処分が絡んでいることが多いです。不動産の登記などの手続きは司法書士か弁護士にしか行えませんが、弁護士の業務は範囲が広すぎて不動産に関する手続きを取り扱っている方はそれほど多くありません。相続財産に不動産が含まれている場合には、まず司法書士に依頼するべきと言えるでしょう。
信託銀行や弁護士と比較して、司法書士の報酬は低めに設定されていることが多いです。信託銀行は最低報酬が決まっていることが一般的で、どんなに遺産が少なかったとしても110万円程度の費用がかかります。また、弁護士の相談料は1回5,000円〜20,000円に設定されているケースが多いです。それに比べて司法書士の報酬の相場は、最低報酬が25万円、1回の相談料は3,000円〜5,000円程度になっています。
不動産の相続登記や抵当権抹消登記は、司法書士の独占業務です。「独占業務」とは、その資格を持っている人でなければ携わることができない業務のことを言います。弁護士も登記に関する業務を行うことができますが、弁護士が取り扱える法律は多岐にわたるため、不動産を得意としている方はあまり多くありません。司法書士は不動産実務を把握しており、不動産の贈与や売買の取引に立ち会うことも多々あるので、相続する財産に不動産が含まれている方は司法書士に依頼することをオススメします。
司法書士は、不動産を含む相続手続きを多数取り扱っています。そのため、手続きの過程で連携が必要となる不動産業者や不動産鑑定士、相続税の申告手続きに強い税理士とのネットワークを持っています。自分だけの力で個別にこれらの専門家を探すのは大変ですが、相続手続きを取り扱っている司法書士に依頼すれば、ほかの専門家とも効率的に繋がりをつくることができるのです。
司法書士とほかの士業を比較してみてみましょう。
まず、税理士とはどのように違うのでしょうか。独占業務の観点からみると、司法書士は不動産の登記に関する業務、税理士は相続税の申告手続きを行うことができます。不動産を相続したい場合、登記は必ず行わなければならない手続きとなりますが、相続税の申告手続きはそうではありません。一定の金額を超えた場合のみ必要となります。また、司法書士は遺産分割協議書や遺言書の作成、相続放棄の手続きをすることができますが、税理士はこれらの手続きを行うことができません。
つぎに弁護士との違いは、トラブル解決ができるかどうかです。すでに相続人同士でトラブルが起きたり裁判に発展してしまったりしているような場合に、代理人として当事者の代わりに交渉できるのは弁護士だけです。逆に考えると、弁護士の報酬が高いことや不動産実務に精通している弁護士は多くないことから、トラブルが生じているわけでなければ、最初から相続手続きを弁護士に依頼する特別なメリットはあまりありません。
最後に、行政書士との違いは、取り扱える業務の範囲です。司法書士は不動産の登記に関する業務を行えますが、行政書士はできません。書類の作成においても、行政書士は遺言書の作成はできても検認はできません。検認とは、遺言書の内容を裁判所において確定する手続きのことです。遺言書が自筆で書かれたものの場合は、登記の前に必ず行わなければならない手続きとなります。また、司法書士は相続放棄の手続きができますが、行政書士はできません。
以上のとおり、税理士や行政書士よりも業務の対応範囲が広く、弁護士よりも報酬が低くて不動産実務を把握していることから、相続手続きを依頼するのは司法書士が適していると言えるでしょう。
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不動産 相続の 手続費用 |
¥45,000~ | ¥58,000~ (※1) |
¥68,000~ (※2) |
¥104,500~ |
公式HP |
※初回の相談が無料であり、電話やZoomでも手続きが進められると公式HPで明記している京都市内の司法書士事務所を掲載しています(2021年4月調査時点)。
※各費用は公式HPに掲載されている最低限の料金です。家族構成や手続きの複雑性によって変化する可能性があります。
※公的手続きの実費として納める費用、出張時の立ち合い費用などの諸経費は含まれていません。
※費用は2021年12月の情報です。
※1:2021年12月時点で、公式HPに税表記はありませんでした
※2:2021年12月時点で、公式HPで価格を確認できませんでした