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トラブルになる遺言書とは

弁護士監修

遺言書は遺言者の死後、財産を誰にどの程度分配するかを意思として書面にしておくことですが、実は遺言書が原因で相続トラブルが発生してしまう、揉め事がより複雑化してしまうというケースも珍しくありません。実際のトラブル事例を知っておき、対策を講じておくことが重要です。ぜひ、参考にしてみてください。

よくある遺言書のトラブル13選

そもそも見つからない

遺言書のうち、自筆証書遺言は費用がかからず証人が不要のため、相続人に遺言書の存在を秘密にしておくことも可能です。その反面、誰も遺言書の存在を知らない、存在は知っているものの見つからないといった事態も起こり得ます。そうしたケースを回避するためには、自筆証書遺言書保管制度を利用するとよいでしょう。遺言者の死後、法務局が遺言者の死亡を確認した時点で、予め指定された相続人に、遺言書が法務局で保管されていることが通知されます。

遺産分割協議後に遺言書が見つかった

遺言書の存在を知らないままで遺産分割協議が行われ相続人間で合意がなされた後に遺言書が見つかるというケースも往々にしてあります。その場合、相続人が遺産分割協議を錯誤により取り消し、遺言書に従うべきだと主張するなど、新たなトラブルの火種となってしまうおそれも。前述した自筆証書遺言書保管制度や公正証書遺言を利用することが望ましいと言えます。

遺言書を勝手に開封された

親族が亡くなってしばらくした後に封のしてある遺言書が見つかった場合、見つけた相続人の一人が遺言書を勝手に開封してしまうのはNG。開封したら遺言が直ちに無効になるというわけではありませんが、内容を知った相続人が、内容を改ざんしたり遺言書の存在を隠すおそれがあるためです。遺言書が見つかった場合は家庭裁判所に「検認」という手続きを申請し、家庭裁判所で相続人が立会う中で開封することが求められます。

無効な遺言書だった

自筆証書遺言は必ず、全文を遺言者が自ら手書きで記すことが求められ(遺言書に添付する財産目録は手書きでなくてもよいですが、ページごとに署名捺印が必要です。)、署名と作成日付も正確に記載することが求まられます。例えば本名ではなく通称の署名であったり、「〇月吉日」といった記載は無効になります。また、ビデオメッセージなど書面ではない形態の遺言も無効となります。

認知症の親に書かせた(その疑いがある)

遺言書の作成には「遺言内容を理解し、遺言の結果を弁識し得るに足る意思能力」が必要であるとされており、認知症が進行した状態で親に書かせた、またはその疑いがあるという場合は遺言能力が争われ、裁判所から遺言が無効と判断される場合もあり得ます。

無理やり書かせた(その疑いがある)

上記の認知症の場合と同様に、相続人の1人が遺言者を騙したり脅したりして遺言書を書かせた場合も、その遺言書は無効となります。ただし、遺言書を無効とするためには、訴訟によって、遺言書が無効であることを裁判所に認めてもらう必要があります。

相続人が網羅されていなかった

例えば遺言者には前妻とその間に生まれた子供がいた、愛人との間に隠し子がいて認知していたといった場合、それらの人物も相続人としての権利を有しています。現在の家族に隠している相続人がいる場合、遺言書を作成するときにこれらの相続人を考慮した遺言内容にしておかないと、相続人間でトラブルになりかねません。

遺留分を考慮してなかった

遺留分とは、一定の法定相続人に最低限保証される相続財産への期待権のであり、遺言書の内容に関わらず保障されます。それゆえ、例えば「全財産を愛人との間に生まれた隠し子に寄贈する」という遺言を作成しても、遺留分の権利を有する他の相続人から遺留分侵害額請求を起こされる可能性大となります。遺言が無効になるわけではありませんが、こうしたトラブルを回避するためには遺留分に配慮した遺言内容としておいたほうが良いでしょう。

寄与分を考慮してなかった

例えば遺言者が生前、要介護の状態となり、身の回りの面倒を長男が見ていたという場合、長男は特別な寄与をした相続人の相続財産の取り分を増やす「寄与分」の権利を主張することができます。遺言が無効になるわけではありませんが、当然ながら、そうした寄与分について考慮せず、特定の相続人への贔屓がなされた内容の遺言書は、まさにトラブルの要因になり得ます。

相続税の支払いを考慮していない

財産を相続する際の相続税は、現金で支払うのが基本。それゆえ、家や土地といった不動産や、金地金や宝石などの貴金属類、自動車など換金に手間暇のかかる財産を遺す場合には、相続税の支払いに関しても考慮した内容としておかなければなりません。

遺言執行者が指定されていない

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するための手続き等を行うために選任される者であり、相続財産を調査して管理する役割も求められます。この遺言執行者が指定されていない遺言書が無効ということはありませんが、指定がなければ相続人が遺言執行者を誰にするか検討しなければならなくなり、その結果、相続手続きに相続人全員の協力が必要となってしまうなど、相続人が苦労を強いられるおそれが高くなってしまいます。

遺言執行者が職務執行を怠った場合も問題に

上記の通り、遺言執行者は、遺言書の内容を実現するための手続きや相続財産の管理を行う者として選出されますが、遺言執行者が手続きに協力しないなど任務を怠ったという場合には、相続人全員が迷惑を被ることになります。遺言執行者は、しっかりと信頼のおける者を選ばねばなりません。

遺言書で家族以外への遺贈を指定している

例えば遺言者が生前世話になっていた家政婦さんや親しくしていたご近所さんなど、家族以外に財産の10%以上を寄贈するという遺言書を遺した場合、ご家族とその寄贈者との間に、感情的なしこりやトラブルが発生する可能性が否めません。とりわけ宗教法人などへの遺贈は「遺言者は受遺者に騙された」と主張し、裁判などでの争いに発展する確率が高くなってしまいます。

遺言書作成は
「正しい知識」「適切な判断」が不可欠

以上の通り、遺言書というものは軽い気持ちで適当に作成すればよいというものではなく、相続人が後々苦労したり、争いやトラブルを起こさないようにしっかりと配慮した内容とするということが重要になってきます。本サイトでご紹介している各種の記事はもとより、時には専門家の力も借りながら、「トラブルの元にならない遺言書」の作成に勤しんでください。

なお遺言書の書き方については、下記のページで詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

記事監修の弁護士紹介

南陽輔 弁護士

南陽輔弁護士

  • 所属:大阪弁護士会(2008年弁護士登録)
  • 大阪大学法学部、関西大学法科大学院卒業。
  • 2008年12月から大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件や刑事事件案件など、幅広く法律業務を担当。
  • 2021年3月に一歩法律事務所を設立。契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行う。

※学術部分のみの監修となり、弁護士が具体的な事務所やサービス等を推奨しているものではございません。

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